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ラグビー選手 リーチ マイケルさん
1988年10月7日、ニュージーランド クライストチャーチ生まれ。2004年に来日し、札幌山の手高校に留学。その後、東海大学へ進学し2008年に20歳で日本代表入りを果たす。2011年、東芝ブレイブルーパスに入団し、同年、日本代表としてラグビーワールドカップ2011ニュージーランド大会に出場。ラグビーワールドカップ2015イングランド大会、ラグビーワールドカップ2019日本大会では、日本代表のキャプテンとして出場。
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ラグビー選手 庭井 祐輔さん
1991年10月22日生まれ。兵庫県神戸市出身。10歳からラグビーを始め、報徳学園高校、立命館大学へと進み、2014年にキヤノンイーグルスに入団し、現在8シーズン目、バイスキャプテンを務める。2017年、ルーマニア代表との試合で、日本代表初キャップ。現在10キャップ。
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ONIBUS COFFEE代表 坂尾 篤史さん
1983年生まれ。オーストラリアでカフェの魅力に取りつかれ、約一年のバックパックを経て帰国後、バリスタ世界チャンピオンの店でコーヒーの修業。焙煎やバリスタトレーニングの経験を積み、2012年に独立。奥沢に『ONIBUS COFFEE』をオープン。現在は都内に4店舗、ベトナムホーチミンに1店舗を運営。
トレーニングやワークショップなど行いながらアフリカや中米のコーヒー農園に積極的に訪れ、現地との持続的な取引を大切にしながら、素材のトレーサビリティを明確にする活動を積極的に行う。
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今回は2021年12月に開催されたイベント「ONE TEAM STREET presented by 丸の内15丁目PROJECT.」のトークショー「リーチ マイケル選手のコーヒーブレイクトーク」を皆さまにお届けします。会場に来られなかった方やアーカイブ動画を見逃した方はぜひご覧ください!
またイベント期間中、丸の内仲通り沿いにあるカフェ Marunouchi Happ.では、リーチ マイケル選手がトータルプロデュースするコラボカフェ「SIXTY FOUR」が東京丸の内に登場し、コーヒーをはじめ、数種類のコーヒードリンクを提供したほか、リーチ マイケル選手のオリジナルグッズを販売しました。
(現在はイベント終了のため、コラボメニューの提供も終了しております。)
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リーチ・マイケルさん(以下リーチさん)
「みなさんこんにちは。ONIBUS COFFEEの坂尾さんとコーヒーの話をできることを楽しみにしています。」
庭井 祐輔さん(以下庭井さん)
「こんにちは。ラグビーを通してコーヒーの良さや魅力に気づきまして、その魅力を皆さんと共有できたらと思います。よろしくお願いいたします。」
坂尾 篤史さん(以下坂尾さん)
「業界の垣根を超えてコーヒーのお話が出来ることをとても嬉しく思っています。今日、リーチさんと庭井さんとコーヒーブレイクということで楽しみにしています。よろしくお願いいたします。」
―――さっそくですが、Happ.でのコラボカフェがとにかく行列ですね。
リーチさん
「思っていたより豆の減り方が早くて、急遽20kg追加しました。」
―――今回のコーヒーの豆のこだわりやポイントなどをぜひ教えて下さい。
リーチさん
「コーヒーが好きで、いろいろなところに遠征するたびに豆を購入して、試したりしていまして、今回は、今1番気に入っているエチオピアの豆を妻と協力しながら好きな味に仕上げてきました。」
―――いま庭井さんが飲まれているのも今回のコーヒーですが、お味はいかがですか?
庭井さん
「先程からずっと飲ませていただいていますが、止まらないですね。飲みすぎてしまいそうで途中でお手洗いに行くかもしれません。」
―――坂尾さんはいかがですか?
坂尾さん
「僕も先程からいただいていますが、冷めても味が崩れずバランスが良いので、美味しくずっと飲めるコーヒーだと思っています。」
―――まずはコーヒーにはまったきっかけなどを教えて下さい。
リーチさん
「ニュージーランド出身で15歳から日本に来てラグビーを続けているのですが、プロになってニュージーランド出身のチームメイトとコーヒーの話やラグビーの話をよくしていて、そこでコーヒーに興味を持ち、もっと美味しいコーヒーを自分で作りたいなと思い、マシーンを買って、カフェも開き、コーヒーにはまって11年くらいになります。」
坂尾さん
「日本では子供はあまりコーヒーを飲みませんが、ニュージーランドではどうですか?」
リーチさん
「15歳まではコーヒーはあまり頻繁に飲みませんでした。社会人になってからコーヒーをよく飲むようになりました。」
坂尾さん
「いつもはどういうコーヒーを飲むのですか?」
リーチさん
「いつもは、ラテから始まって、ラテ、ラテ、フラットホワイトになって、最近になってエスプレッソが好きになって少しずつ好みが変化してきています。」
―――庭井さんはリーチさんの影響でコーヒー好きになったとお聞きしていますが、そのあたりはいかがですか?
庭井さん
「2017年にサンウルブズに入りまして、その中でリーチさんの提案でエスプレッソマシーンをチームに置くことになったのですが、そこで初めてエスプレッソマシーンを使ってみて、そのときは自分で淹れたコーヒーはあまり美味しくなかったのですが、リーチさんに淹れてもらって美味しさがまったく違ったのでそこからコーヒーの魅力に目覚めました。その時から4年経ち、スキルもあがりましたけど、好きさの加減もリーチさんを超えているかもしれません(笑)」
リーチさん
「余裕で超えているかも(笑)庭井さんは手先の器用さがあるし、ポジションもフッカーなのでそういうところは上手だなと。」
―――先日もラグビー選手の名バリスタは庭井さんだとおっしゃっていましたよね?
リーチさん
「お互いインスタグラムでよくできたラテアートを送りあっていて、そこで上手にできているのは庭井さんが多いですね。」
坂尾さん
「庭井さんはラテアートをどうやって練習するのですか?」
庭井さん
「最初、デロンギの市販のマシーンを使っていて、最初はできなかったのですが、ずっと練習をして少しずつ形にして、リーチさんからまた別のマシーンをオススメされて、マシーンの力も借りながら上達していきました。」
坂尾さん
「マシーンってどうやって良し悪しを見分けているのですか?」
庭井さん
「本当に有名どころしか知らないですが、本当はLA MARZOCCOが欲しいのですが、とても高いので、コストパフォーマンスの高いマシーンを探して選んでいます。」
リーチさん
「僕はニュージーランドに帰ったときに通っていた焙煎屋さんの横にマシーンを直すお店があって、そこの方からLA MARZOCCOをオススメされてニュージーランドから持って帰ってきました。ニュージーランドにも1台お気に入りを置いてきています。」
坂尾さん
「ご家庭にマシーンがあるのはすごいですね。」
リーチさん
「グラインドとスチームのカップも僕のカフェのものを庭井さんにプレゼントしましたよ。」
―――リーチさんはカフェの前を通るときマシーンをチェックしているそうですね。
リーチさん
「僕らは遠征先で必ず良さそうなカフェを探すのですが、ネットでカフェの写真を確認してマシーンをチェックして、このお店は美味しいコーヒーが飲めそうだなと判断しています。海外でもバスを乗りながらカフェのマシーンを庭井さんとチェックしています。」
―――リーチさんがきっかけでコーヒー好きになったラグビー選手が多いとお聞きしましたが。
リーチさん
「そうですね、飲む側から次第に作る側になって、マシーンを1台買って、合宿所に置いているのですが、それがきっかけでみんなマシーンを使って作るようになって、みんな結構上手に淹れることができるようになり、コーヒーの魅力にはまっていっています。」
庭井さん
「そうですね、みんな真面目なので良く練習しているみたいで、大体ランチのあとコーヒーを飲むのですが、15時くらいとか関係ない時間に誰かがマシーンを使っていたりとかしますね。」
―――淹れ方やラテアートなど教えあったりとかはしますか?
庭井さん
「僕は結構教えたりとかしています。姫野選手などよく聞いてきて教えたりしていますがまだまだですね(笑)」
―――リーチさんも姫野選手はまだまだとおっしゃっていましたよね(笑)
リーチさん
「でもすごい上手になってますよ!」
―――コーヒーを飲むタイミングやシチュエーションは決まっているのですか?例えば試合前にとか。
庭井さん
「朝イチは必ず飲むのですが、種類を変えていて、試合前だとドリップコーヒーとかアメリカーノとかミルクを使わないものを飲んでいまして、練習後やリラックスしたいときはラテなどを飲んでいます。」
リーチさん
「僕も一緒で、基本朝はブラックを飲んで始まります。」
―――15丁目住民の方からも自宅でのコーヒーの愉しみ方を教えて下さいと質問が来ております。
庭井さん
「そうですね、僕は朝起きて1番最初にやることがエスプレッソマシーンのスイッチを入れることです(笑)自分の中のテンションのスイッチを入れることと一緒ですね。」
リーチさん
「僕は、豆をたくさん試していて淹れ方だったり、グラインドの具合で味が変化するので国の違いやローストの違いで様々な表情があるのが愉しいですね。家では飲んだコーヒーのメーカーのラベルを壁にピンで付けています。ONIBUSの豆がとても美味しくて、マシーンで淹れるときでも少しミスをしても味が安定して美味しいのがONIBUSのコーヒーですね。」
庭井さん
「クオリティがめちゃくちゃ高いのに、値段は安いのでみんなが気兼ねなく愉しめるコーヒーですね。」
坂尾さん
「そういっていただいてとても嬉しいのと、2人の会話を聞いているとコーヒー業界の方かなと勘違いしてしまいます(笑)」
リーチさん
「プロの前でお話するのは少し恥ずかしいですね(笑)」
庭井さん
「坂尾さんのコーヒーの愉しみ方が気になりますね。」
坂尾さん
「仕事にしてから愉しむことがなかなかできず、仕事としてのジャッジという感覚ですが、旅に行ったときの朝のコーヒーが1番好きですね。現地のコーヒーショップに朝行って1日のスイッチを入れて気分を整える。そういう良さがコーヒーにはありますね。それとバリスタの人との会話ですね。現地に行って、そのローカルな地域の情報を得られるのがコーヒーショップのいいところかなと思っています。美味しいコーヒーをきっかけに人が繋がるという魅力がありますね。」
―――坂尾さんの言葉で、「コーヒーショップは社会のインフラ」というのが印象的ですがそこはいかがですか?
坂尾さん
「そうですね、美味しいレストランとかは毎日行けないですが、コーヒーショップは毎日行けるのでそこで出会う人と人が自然と繋がって会話が生まれたりして少しずつコミュニティが生まれるのがコーヒーショップの良いところですね。」
リーチさん
「そうですね、僕らもラグビーで遠征するときはコーヒーショップにいって、ラグビーの話だけでなく色々な話をしたりできるので、コーヒーを通してコミュニケーションが生まれますよね。そういうところが良いですね。」
庭井さん
「僕もそう思います。チームの中でも話す時間が増えてくるというのが実感としてもあるのでコーヒーの役割というのが大きいなと思っています。」
―――コーヒーに合うスイーツなどはなにかございますか?
リーチさん
「バナナブレッドですね!そこにバターをたっぷり乗せて少し温めてコーヒーと一緒に食べるのがお気に入りです。ニュージーランドやオーストラリアではポピュラーですね。」
庭井さん
「僕もバナナブレッドが1番です。でも体質的に太りやすいのでラグビー選手としては少し控えめにして、基本コーヒーだけにすることが多いです。」
坂尾さん
「バナナブレッドとコーヒーの相性は最高ですね。オーストラリア・オセアニアスタイルなんですけど、
僕らのお店でもオセアニアレシピのバナナブレッドを出していて、そこにエスプレッソ・バターというエスプレッソとバターを混ぜ合わせたものを乗せて提供しています。」
―――日本ではカフェにバナナブレッドが置いてある印象があまりないですね。
坂尾さん
「そうですね、日本だとオーストラリアスタイルのお店やニュージーランドスタイルのお店で食べることができますが。」
―――選手同士でコーヒー談義をすることが多いそうですが、どういった内容のお話をされるのでしょうか?
リーチさん
「稲垣選手もコーヒーが好きで、結構マニアックな場所のコーヒーショップを知っていたり、そういった情報を教えあっています。」
庭井さん
「各々のお気に入りのコーヒーショップを教えあったり、どんな豆を買っているかなど話しています。」
坂尾さん
「ONIBUS COFFEEのショップには、スポーツ界ではラグビー選手が1番いらっしゃっていただいています。お2人に質問がありますが、どういうコーヒーが好きなんですか?」
庭井さん
「香りが愉しめるコーヒーだったり、ラテで飲むことが多いので深みのあるコーヒーが好きです。
実際ドリップはあまり詳しくないと自分では思っています。坂尾さんに質問ですが、ONIBUS COFFEEでの仕入先はどうやって決めているのかが気になります。」
坂尾さん
「90%くらいの豆は現地に実際に訪れて決めるようにしています。最近はコロナの影響でなかなか赴けないですが、現地にいって100種類から120種類くらいをカッピング(テイスティング)してそのなかから10種類くらい選定して、そこから実際に農園までお伺いして、生産の環境などを確認して豆を選ぶようにしています。」
庭井さん
「それを聞くと美味しい理由がわかりますね。」
―――ここは丸の内ということもあり、ビジネスマンに向けてオススメのコーヒーを教えて下さい。
リーチさん
「やっぱりブラックじゃないですか。少しミルクを入れる。その飲み方がシンプルでいいですね。」
庭井さん
「僕は運動前はドリップやアメリカーノなんですが、ビジネスマンの方々にはぜひラテをオススメします。」
坂尾さん
「朝一番はラテで、お昼のランチのあとはブラックやエスプレッソをオススメしますね。」
リーチさん
「変な話があって、先日ポルトガルに遠征があってカフェでラテを頼んだらとても変な顔をされました。
現地ではラテは女性が飲むことが多いらしいです。」
―――皆さんは、砂糖や蜂蜜などを入れて飲んだりしないのですか?
リーチさん
「砂糖はいれないですね。イタリアとかではエスプレッソに砂糖をたくさん入れて、ショットで一気に飲んで仕事にいく光景を見かけましたが。」
庭井さん
「僕も砂糖などは入れないです。」
坂尾さん
「東京で注目されているスペシャリティコーヒーのカルチャーではあまり砂糖などをコーヒーに入れないですね。世界全体でコーヒーの品質が上がってきているので、コーヒー豆そのものの味で愉しめるのが大きいのではないでしょうか。」
―――最後に2022年の抱負を皆さんお願いします。
リーチさん
「1月7日にリーグワンという新しいリーグが始まります。1月8日は東芝の開幕戦です。みなさん大きなラグビーへの応援をお願いいたします。」
庭井さん
「本日はありがとうございました。選手としては熱いプレーをしてファンを熱狂させるというのが使命なので応援をお願いいたします!」
リーチさん
「日本のリーグが世界のトップに近づいてきていて、良い選手が世界中からきています。
レベルも上がっていて、勝つのが非常に難しいリーグになってきています。皆さま楽しみにしていてください。」
坂尾さん
「まさか、お2人がこんなにコーヒーの話ができるとは思っていなかったので嬉しく思っています。
まったく業界が違う方々とお話できるのがコーヒーの良さだと思っていますので、これからもっとコーヒーをきっかけにラグビーとの関係を深めていけたら最高ですね。」